世界がグルッと変わる、端くれ東大生が価値観を激変させられた本 「ハーバードの個性学入門」
キーワード ひっくり返る価値観
こんにちは、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
突然ですが、自分の持ってる価値観が揺らぐ瞬間ってありますよね。
大抵は人と話してる時なんですけど、僕はたまに本を読んでる時にもなります。
話している時は一瞬で価値観が崩れる感覚ですが、本だとじわじわ日々を入れられているような感覚ですね。
このブログは本紹介メインなので、
今回は僕が価値観を激変させられた本をご紹介します。
『ハーバードの個性学入門 平均思考は捨てなさい』 トッド・ローズ
書店の文庫の帯にある「東大・京大で読まれています」っていう宣伝文句あるじゃないですか。これ、全然信用してなかったんですよ。だって、大学で読んでる人見たことないから。
帯が胡散臭いから、これついてる本一切買わなかったんですよ。
ある日、帯に気づかずに買っちゃったのがこの本。
もっと早く読むべきでした涙 この帯ついてるやつ大体面白い涙
以下、本の中身です。
「平均」が支配する世界
世界の人間は「平均」という概念に病的に取り憑かれています。
平均点、偏差値、年収、体育テスト、身長、体重、寿命・・・
自分が平均とどれくらい離れているかを意識し続けてきました。これは仕方ないです。そうやって自分の位置を確かめ、
「できないことをできるように努力しましょう」
「周りと違うことはいけないことだ」
って学校で教育されてきましたから。
「平均」的な人間が望まれるようになったのは、兵士や労働者に適しているからです。フォーディズムが生み出した大量生産・大量消費社会は「平均的」な能力の大量の労働者と「平均的」な所得を持つ大量の消費者の存在が不可欠でした。戦争時にはそれが兵士になるだけです。
学校教育は「平均的」な能力を身に着けさせるためのもの。
そうやって、作られた我々は「平均的」な人間なのでしょうか?
人間の圧倒的多様性
筆者は本の冒頭で、平均的なサイズのアメリカ人兵士パイロットの例を紹介しています。
アメリカ人パイロットを4000人以上集めて、体の部位10箇所を測定し、各部位の平均サイズを割り出します。そしてその平均からの誤差が30%以内の範囲に、10箇所の体の部位全てのサイズが収まっているパイロットを4000人の中から探しました。
結果、10箇所の体の部位全てのサイズが平均の範囲に収まっているパイロットは0人。
3箇所だけに絞っても全体の3%だけ。
体のサイズだけ見ても、人間はとても多様性に満ち溢れていることがわかります。
「全てが平均に当てはまる人はいない」
当たり前のようだけど、この事実は衝撃でした。
「平均」に支配されるあまり、「個性」の広さが見えていなかったことを痛感しました。
コンテクストの原理
しかし、「平均」のない世界でどのように人間を比較し、検討すれば良いのでしょう?
筆者は「平均」によって人々を一元的に評価する方法と異なる評価の仕方を提示しています。
それは、各個人が能力を発揮できるようなコンテクスト(条件、場面、文脈)を理解すること。個性を活かせる場面を理解し、適材適所の起用をしてあげれば良い。
筆者は人格というのは安定しているものではなく、コンテクストに左右されて揺れ動くものだと断言します。
例えば、普段人見知りの人でも趣味が合う人や価値観が近い人の前だと饒舌になることがありますよね。
場面に応じて、人はいくらでも対応が変わってしまう。その対応の仕方に「個性」が現れてくるということです。
人間の能力は本質的に決まっているものではなく、コンテクストに左右されるもの。
平均を見て、存在しない平均人との能力比較をするのではなく、自分を見て自分がどんな環境で活躍できるのかを明らかにするべきだと筆者は教えてくれています。
僕はこの本を読んで「平均」思考から「個性」思考へ価値観をひっくり返されました。
現在の就活戦線を見ていても、企業は徐々に平均での評価をやめてきていると思います。平均では頂点にいるはずの東大生も就活は苦戦します。僕も苦戦しました。
フォーディズムの大量生産社会は変化し、独創的で個性的な視点を持つ人が評価される時代がきています。
「個性」思考がこれからの世界を支配していくのではないでしょうか。
この本は非常におすすめです。