クスッと笑える!おすすめコメディ小説3選
キーワード コメディ小説
こんにちは、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
ジメジメと嫌な季節になり始めました。
こういう時期には憂鬱になりがちな僕なので、さくっと読めてスカッと笑える作品を読むことにしています。
今回はその中でも、おすすめの3冊をご紹介します。
ドミノ 恩田陸
東京駅を舞台とした27人と1匹の登場人物が運命的に交錯しながら繰り広げられる、いい意味でハチャメチャなコメディ!
オススメポイント
至る所での伏線回収
この作品には主人公はいません。27人と1匹がほぼ均等に登場してきます。
そのため、数ページおきにコロコロ視点が変わるのでついていくのは大変です。
しかし、ある人物の起こした行動が別の人物に影響を与え、そのせいで他の人物が被害を被る、といったまさにドミノ 倒し感覚で伏線が回収されながらテンポよく進んでいく話は快感!
また、印象を強くするためなのか、登場人物が圧倒的にインパクトの強い人ばかり!
キャラの濃い人同士がぶつかり会う場面はワクワクします。
これだけの人物をバラバラに登場させながら、きれいにまとめているところが非常に素晴らしい作品です!
オー・マイ・ガアッ! 浅田次郎
ラスベガスのカジノで5400万ドルのジャックポットを引き当ててしまった3人の痛快なギャグ小説!
オススメポイント
散りばめられた笑い
浅田次郎さんの任侠ものなどに多い、クスッと笑える変な登場人物が散りばめられています。ふざけている小説部分と真面目にラスベガスの歴史や背景について語るエッセイ部分がバランス良く配置されていて、軽さと重さが両方楽しめる作品です!
僕たちと駐在さんの700日戦争 ママチャリ
ブログに書かれていた作品が書籍化されたもの。1970年代の東北の田舎町で、主人公のママチャリ率いる高校生軍団と町の駐在さんが繰り広げる悪戯の掛け合いが爆笑必須の作品。ところどころに友情や恋愛、社会問題なども散りばめられた章もあり笑って泣ける青春コメディーです!
市原隼人さんが主演で映画化もされており、こちらから入る人も多いですが、小説も非常に面白い作品となっています。
オススメポイント
馬鹿馬鹿しさ
高校生の考える悪戯も男子高校生の会話もひたすらバカバカしい笑
警察官の部屋にエロ本をしこむとか輪ゴム鉄砲を持って銀行強盗の格好して普通に預金しにいくとか。小さい頃にやってた、ドッキリとか悪戯を思い出して恥ずかしくなりながらも笑える!
調子が悪い日に読んでも明るく前向きになれること間違いなしです!
圧倒的青春!夏に読みたい青春小説 個人的ベスト3
キーワード 圧倒的青春
こんにちは、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
夏になると青春を感じる小説を読みたくなるのは、私だけでしょうか?
部活と勉強で消えた自分の青春を取り戻したいだけなのかなあ、とか思ったり。
今回は、ほろ苦い青春を感じさせてくれる大好きな本を3冊ご紹介します!
翼はいつまでも 川上健一
1960年代の青森を舞台に中学3年生の神山くんが
野球を通じた仲間との喧嘩と絆
十和田湖を舞台にした壮絶な過去に苦しむ女の子との恋
全てを感じながら成長していく王道の青春物語です!
体罰やら不純異性交友やら今ではありえない内容が登場し、最初は時代のギャップを感じます。
ですが、友達との関係・大人への反抗心、恋 と思春期の悩みといういつの時代も変わらないモノが中心にあり、神山くんに感情移入しまくることは間違いなし。
読み終わってからの「爽やかさ」は、汚くなってしまった今の自分の心を洗い流してくれるように感じました。
ランナー あさのあつこ
高校生の天才長距離ランナー 碧季がランナーとしての挫折と家族の問題に苦しみながら、再び自分と向き合い走り出す青春ストーリー。
あさのあつこさんといえば「バッテリー」や「The MANZAI」など協力しあいながら高め合っていく青春物語が多いですが、「ランナー 」は少し違う。また、タイトルから連想される純粋なスポーツ物語とも違います。
挫折の経験や母の妹への虐待などの高校生には抱えきれない苦しみを、長距離走と同じように一人で孤独に闘おうとする主人公とそれを支えようとする周りの人々の優しさ。
登場人物は皆、順風満帆には行かず、何かしらの苦しみを抱えています。
思春期に抱えてしまういろんな悩みと葛藤。
モヤモヤしながらもなんとか方向を見つけて進んでいこうとする人を後押ししてくれる作品です。
GO 金城一紀
在日朝鮮人の国籍で都内の普通の高校に通う主人公が、不思議な女の子との恋をきっかけに、自らのアイデンティティと差別に揺れながら進もうとする青春ストーリー。
帰属している集団のレッテルで評価されてしまうことへの怒り、
偏見を取り払った先の本当の自分を見て欲しいという切実な願い。
主人公のように国籍にまつわる差別を受けていなくても、思春期には共通して抱えてしまう怒りと願いではないでしょうか。
僕自身中学の時に「ガリ勉優等生」というレッテルの中で、そうではない部分を見て欲しいと悩んだ時期がありました。
些細な悩みですが、本当の自分とはなんなのか、それをわかってもらうにはどうしたらいいのか悩んでいたことを思い出し、スケールは違うけどこの主人公には感情移入せざるを得ませんでした。
アイデンティティに悩む人へぜひ読んで欲しい一冊です。
爽やかな恋愛小説とか女性の目線のものはあまり入れられませんでした。
様々な視点のものに広げて読んでいきたいです。
ミステリー好きは避けて通れない!個人的 金田一耕助シリーズおすすめベスト3
キーワード 横溝正史 金田一耕助
こんにちは、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
私ミステリー小説が大好きでございます。
本格的にミステリーを読み始めたのは、やっぱりこの名探偵金田一耕助が登場する横溝正史さんの作品でした。
首なし死体、妖艶な美女、素性のわからぬ若い男、気味が悪い伝承・・・
場面設定から何から引き込まれ、父の本棚にあったものを借りて勝手に読み漁り、本棚にあるものを読み終わってからは本屋に行って片っ端から買って読んでいました。
今も私の本棚の一角は横溝正史ゾーンです。
今回は、全部ではないですが、長編は大体読んだ私が個人的に「好きな金田一耕助シリーズの作品ベスト3」を発表したいと思います。
3位 黒猫亭事件
こちらは金田一シリーズ1作目の『本陣殺人事件』の中に収録された中編物ミステリー。
東京のとある街の酒場「黒猫」の庭で発見された顔の識別できない若い女の死体。姿をくらませた酒場の主人とその奥さん。酒場の主人も奥さんも相手に隠れて浮気をしており、警察は死体が奥さんなのか主人の浮気相手なのかに苦しむ。
と言った展開です。
好きなポイント:横溝さんからの挑戦状
横溝さんは冒頭で、この作品は「顔のない死体」の殺人事件であり、この場合犯人は殺されたと思われていた人である、つまり加害者と被害者が入れ替わっているトリックなのだと提示した上で、「今回はそれ以上の結末」であると言い切って始まるのです!
いやー、チャレンジャーですねえ。
こう言われると「負けるかー」と思ってしまいます。
そして、想定以上の結末!
してやられました。
また、中盤までの誘導の流れが素晴らしいなあと思う作品です。
2位 夜歩く
金田一シリーズ3作目の作品。
語りの視点は屋代寅太という青年。屋代青年は友達の仙石から妹の八千代の夢遊病と彼女が起こした狙撃事件について相談され、八千代の実家の古神家へ向かう。仙石の父も夢遊病者であり、父が夢遊病で無意識のうちに人を殺してしまうのではないかと思った仙石は家にあった妖刀を金庫に隠す。
しかし、その晩誰か判別できない首なし死体が発見される。金庫の中の妖刀には血がべっとりとこびり付き、死体発見現場には夢遊病者のスリッパのあとが・・・
好きなポイント 登場人物の魅力
登場人物が比較的少ないのにもかかわらず、一人一人のインパクトが強い。
猛烈に官能的だが子供っぽさもある悪女の八千代や
友達でありながらも屋代に対し蔑みの視線を抱く仙石など
登場人物の関係性や特徴がしっかりしていて、ストーリーや登場人物が他の作品よりも身近に感じられる部分が大きいです。いつも以上にドロドロしてる。
それでいて夢遊病など特別な要素を入れてきており、独自の世界観があるなあと思います。
犯人もかなり意外なので、騙される人多数! 全体として楽しめる作品です。
1位 獄門島
金田一シリーズ2作目の長編です。
なぜか、ベスト3がシリーズの1〜3作目になってしまった。これは偶然。
金田一の戦友鬼頭千万太が亡くなり、そのことを知らせに訪れた金田一は獄門島を訪れる。千万太は死ぬ前に「自分の妹たちの命が奪われる」と心配していた。千万太の葬儀が行われた夜、妹の一人、花子が俳句の言葉になぞらえて殺される。そして、その他の二人の妹たちも・・・
好きなポイント 金田一シリーズの要素全部乗せ!
俳句になぞらえた見立てたおどろおどろしい殺人、古い慣習に縛られた島の人々、犯人あての困難さ・・・ 金田一シリーズの魅力が詰まった作品かなと感じます。
今の日本ではありえない慣習や伝統に満ちたイヤーな薄暗い雰囲気が見事に描かれていて、作品のハラハラ感を引き立ててくれます。
「悪魔の手毬唄」も近い魅力があるのですが、あれはちょっといくらなんでも血縁関係が気持ち悪いので、個人的にはもう少しさっぱりしている獄門島の方が好きですね。
一番犯人の検討がつかなかったです。最後まで全くわからなかった。
魅力もトリックも鮮やかな作品です!
横溝正史さんの作品はどれをとっても面白いと思います。
ぜひ、読んでみてください!
世界がグルッと変わる、端くれ東大生が価値観を激変させられた本 「ハーバードの個性学入門」
キーワード ひっくり返る価値観
こんにちは、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
突然ですが、自分の持ってる価値観が揺らぐ瞬間ってありますよね。
大抵は人と話してる時なんですけど、僕はたまに本を読んでる時にもなります。
話している時は一瞬で価値観が崩れる感覚ですが、本だとじわじわ日々を入れられているような感覚ですね。
このブログは本紹介メインなので、
今回は僕が価値観を激変させられた本をご紹介します。
『ハーバードの個性学入門 平均思考は捨てなさい』 トッド・ローズ
書店の文庫の帯にある「東大・京大で読まれています」っていう宣伝文句あるじゃないですか。これ、全然信用してなかったんですよ。だって、大学で読んでる人見たことないから。
帯が胡散臭いから、これついてる本一切買わなかったんですよ。
ある日、帯に気づかずに買っちゃったのがこの本。
もっと早く読むべきでした涙 この帯ついてるやつ大体面白い涙
以下、本の中身です。
「平均」が支配する世界
世界の人間は「平均」という概念に病的に取り憑かれています。
平均点、偏差値、年収、体育テスト、身長、体重、寿命・・・
自分が平均とどれくらい離れているかを意識し続けてきました。これは仕方ないです。そうやって自分の位置を確かめ、
「できないことをできるように努力しましょう」
「周りと違うことはいけないことだ」
って学校で教育されてきましたから。
「平均」的な人間が望まれるようになったのは、兵士や労働者に適しているからです。フォーディズムが生み出した大量生産・大量消費社会は「平均的」な能力の大量の労働者と「平均的」な所得を持つ大量の消費者の存在が不可欠でした。戦争時にはそれが兵士になるだけです。
学校教育は「平均的」な能力を身に着けさせるためのもの。
そうやって、作られた我々は「平均的」な人間なのでしょうか?
人間の圧倒的多様性
筆者は本の冒頭で、平均的なサイズのアメリカ人兵士パイロットの例を紹介しています。
アメリカ人パイロットを4000人以上集めて、体の部位10箇所を測定し、各部位の平均サイズを割り出します。そしてその平均からの誤差が30%以内の範囲に、10箇所の体の部位全てのサイズが収まっているパイロットを4000人の中から探しました。
結果、10箇所の体の部位全てのサイズが平均の範囲に収まっているパイロットは0人。
3箇所だけに絞っても全体の3%だけ。
体のサイズだけ見ても、人間はとても多様性に満ち溢れていることがわかります。
「全てが平均に当てはまる人はいない」
当たり前のようだけど、この事実は衝撃でした。
「平均」に支配されるあまり、「個性」の広さが見えていなかったことを痛感しました。
コンテクストの原理
しかし、「平均」のない世界でどのように人間を比較し、検討すれば良いのでしょう?
筆者は「平均」によって人々を一元的に評価する方法と異なる評価の仕方を提示しています。
それは、各個人が能力を発揮できるようなコンテクスト(条件、場面、文脈)を理解すること。個性を活かせる場面を理解し、適材適所の起用をしてあげれば良い。
筆者は人格というのは安定しているものではなく、コンテクストに左右されて揺れ動くものだと断言します。
例えば、普段人見知りの人でも趣味が合う人や価値観が近い人の前だと饒舌になることがありますよね。
場面に応じて、人はいくらでも対応が変わってしまう。その対応の仕方に「個性」が現れてくるということです。
人間の能力は本質的に決まっているものではなく、コンテクストに左右されるもの。
平均を見て、存在しない平均人との能力比較をするのではなく、自分を見て自分がどんな環境で活躍できるのかを明らかにするべきだと筆者は教えてくれています。
僕はこの本を読んで「平均」思考から「個性」思考へ価値観をひっくり返されました。
現在の就活戦線を見ていても、企業は徐々に平均での評価をやめてきていると思います。平均では頂点にいるはずの東大生も就活は苦戦します。僕も苦戦しました。
フォーディズムの大量生産社会は変化し、独創的で個性的な視点を持つ人が評価される時代がきています。
「個性」思考がこれからの世界を支配していくのではないでしょうか。
この本は非常におすすめです。
騙される快感!端くれ東大生が「あっ!」と言わされた小説3選
キーワード 騙される快感
こんにちは、端くれ東大生の端ビロコウです。
僕は昔から謎解き・パズル・ボードゲームみたいな頭を使うものが好きです。
論理を組み立てて最適解を引き出せた時とか狙った罠にきれいに相手をはめられた時には喜びを通り越して「快感」を感じます。(性格がよくない笑)
同じような「快感」を求めてよくミステリー小説も読みます。
犯人・動機・トリックをきれいに予想できた時には、やっぱり「快感」!
でも、僕は中学生の時に出会ったある作品のおかげで、逆にあまりにもきれいに騙された時にも「快感」を感じるということに気付きました。
純粋に文章の力ってすごいなと。
今回は、私が騙される「快感」を味わった作品を3冊紹介します。
皆さんもぜひ騙されて欲しいなあ。
端ビロコウ的 騙された「快感」を感じる作品の共通点
1「後半になっても犯人がわからない」
後半になると生存者が減り、容疑者が絞られてきてしまって、作家の傾向からして犯人がわかってしまうことはよくあります。
いい作品であったとて、わかってしまうことも有ります。例えば、僕は横溝正史さんの金田一耕助シリーズも大好きですが、読みすぎてしまったので、トリックはわからないけど犯人がわかってしまうことはしばしばです。
犯人視点の作品でない限り、ミステリーでは最低限の要素ですよね。
2「トリック・仕掛けがきれい」
犯人分からなかったけど、種明かしされたら「それはずるいだろ」って言いたくなるトリックってありますよね。
この間読んだ作品なんか、被害者が謎の特殊能力で死んだことになっていて、本を投げそうになった。そんなのアリかよ。
こういうのは騙されても「快感」になりません。
3「2回目に読んでも面白い」
仕掛けがある作品はなんといっても、一回読んだら犯人とかトリックがわかってしまい読む価値が半減してしまうものですよね。でも、いい作品ほど犯人の記憶が抜けなくて、まだ読んでいない自分に帰りたくなります。
トリックを覚えているからこそ楽しめる要素も有ります。2回目に読むと「だからここでこの発言をするのか!」という発見ですね。これが出来る作品が作り込まれていることを感じられて、「快感」を増幅させてくれます!
では、ここからは個人的に上記3つの共通点を満たしていると感じる作品を紹介したいと思います。
十角館の殺人 綾辻行人
僕が騙され「快感」童貞を卒業した作品です笑
綾辻行人さんの「館」シリーズの最初の作品。
ある無人島にある奇妙な十角館に集まった大学ミステリー研究会のメンバーたちが、連続殺人事件に巻き込まれて行くというお話。話は殺人が行われる島の内部と殺人事件の調査を行う本土の人々の2部が交互に進んでいく形になります。
「連続殺人」
「犯人は仲間の中にいる」
「怪しい仕掛けのある奇妙な館」
とよくあるミステリーの要素てんこ盛り!
やり尽くされた王道をいっているにも関わらず、トリックの鮮やかさに脱帽でした。
最後の最後まで犯人は分からなかったです。
押しつけは嫌いですが、これだけは読んだことがない人は絶対に読むべき!
ふぅ、熱く語りすぎました。
ぜひ、素直な気持ちで読んで、騙される快感を味ってみてください。
扉は閉ざされたまま 石持浅海
こちらは、犯人が最初からわかっている「刑事コロンボ」パターンの作品。
同窓会で久しぶりに集まった機会を狙って、伏見亮輔は後輩の新山を殺害。
その後、伏見は他の人が殺害現場の部屋に入れないように工作を施し、完全犯罪を目論むのだが・・・。といったあらすじです。
犯人当ての面白さはないものの、この作品は犯人:伏見亮輔と探偵役:碓氷優佳の「論理的な会話の攻防」が非常に面白いです。
犯人視点で描かれるため、論理で追い詰められる犯人のハラハラ感を味わえるのもオススメの一つ。
意外な結末を迎えるのも予想を裏切ってきて「快感」でした。
片目の猿 道尾秀介
ミステリー小説ではないような気がしますが、これも鮮やかに引っ掛けられた作品。
道尾さんは大体の最後に「大どんでん返し」を仕掛けてきますが、一番「仕掛けがキレイだな」と感じた作品です。
道尾さんの作品だと「向日葵の咲かない夏」も好きですが、あちらは読後感がニガウリを食べたよう「苦味」だけが残るのに対して、こちらの作品はキレイなトリックに騙されたという「爽快感」と自分が解釈においてを潜在的なバイアスに塗れているか実感する「苦味」を両方味合わせてくれる作品です。
読み終わってすぐ、答え合わせをしたくなる作品間違いなしです。
自粛期間中に読みたい!ある東大生が地理を大好きになるきっかけをくれた本
キーワード 地理好き
こんにちは、端くれ東大生の端ビロコウです。
本日のテーマは、国立受ける理系受験生が「理系が取り組みやすい!」みたいな文句を見かけて選びやすい科目NO.1地理!まあ、確かに日本史とかより覚える内容は少ないけどね。多分。
でも、意外と多いんだよな。覚えること。基礎知識覚えて、その知識を元に回答考察するのが「流れ」だけど、基礎知識が多くて挫折しがち。
やるからには、好きにならないと覚えにくいですよね。
なので今回は、僕が「地理」を好きになったきっかけをくれた本を紹介します。
『国マニア』吉田一郎
ナウル、サンマリノ、モルディブ、バミューダ諸島、アンティグア・バーブーダ・・・
名前は聞いたことあるかもしれないけど、それ以外の情報0だなあっていう国。
そんな国の建国のきっかけとかどうやって生計を立てているのかという明らかにマニアックな地理の情報を教えてくれるのがこの本。
実用性は本当にない。ウンチクにしかならない笑 受験問題には絶対でないもん。
でも、この本はオススメ!その理由は国の基礎知識の枠組みが自然と整理できるから。
ある国の基礎知識って「人口規模」「気候帯・植生」「主な産業」「外交関係」「文化」とかですかね。
この本は世界のマニアックな国のこれらの情報を、1国につきわずか3ページで簡潔に教えてくれます。
この本を読んで、各国の基礎知識を得る経験を繰り返すことで、脳みその中に国の基礎知識の枠組みが自然と作られます。
そうなると、地理の勉強でで有名な国の基礎情報をおさえる時にも、この枠組みを使って、情報整理がやりやすくなります。
僕自身、これを読む前と後では、国の全体像を掴む難易度がグッと下がったのを感じました。
何かを覚える時は、闇雲に情報を詰めるのではなく、枠組みやカテゴリーを作った方がいいです。アウトプットもしやすくなります。
その枠組みを自然と提供してくれるのが『国マニア』の良さかなあ。
『アヘン王国潜入記』高野秀行
ノンフィクションの部門では僕が一番好きな作家さんです。
高校時代から高野さんの本は新刊が出たら必ず買うほど大好きです!
毎回、普通の人が行けないような世界の紛争地域や無法地帯に身一つで乗り込んで、現地の人々と同じ経験を積む中で感じた思いをおもしろおかしく記してくださいます。
この本は、1990年代後半に筆者自身がミャンマー北部のアヘン生産が盛んな地域に乗り込み、現地の村に七ヶ月も住み込んで、生活を体験した内容を記したものです。
この本をおすすめする理由は、地理の教科書では感じることが絶対にできない、「現地の人々のくらし」を生々しく感じられることです。
僕自身はこの本の中の、ゲリラに巻き込まれ、麻薬栽培に手を出さなければ稼いでいけない世界でも現地の人々が明るく、楽しげに暮らしているシーンに非常に驚きを受けました。
教科書だけ読んでいても発展途上国の人々の立場や思いを少しでも知ることができることで、世界の問題とされる「南北問題」や「賃金格差」といった言葉の理解が進むと思います。
自粛期間中に読みたい!ある東大生が理科好きになったきっかけをくれた本3選
今回のキーワード 理科好き
初めまして、端くれ文系東大生の端ビロコウです。
僕は現在、部屋に閉じこもって読書ばかりの根っから文系なよなよ大学生です。
ですが、高校生まではいわゆる「理科」も大好きでした。大体の模試で英語とかの文系科目よりもいい偏差値が出ていました。
高校の化学でベンゼンの構造図を書き続けていたときに、「これめっちゃ意味なくね」と空虚さを感じて以来あまり好きでなくなってしまいましたが・・・
今回は、そんな端ビロコウに理科を好きになるきっかけをくれた本をご紹介します!
『ファーブル昆虫記』
うわー、我ながらベタですねー。でも、本当にきっかけをくれた本だから仕方がない。
読んだのは小学校入学以前でした。ファーブル昆虫記の影響で、小学校低学年の時は近くの公園や植物園で虫を捕まえては、観察したり、絵に描いたり、エサを色々あげてみたりしていました。
今の日本の初等・中等教育は「問題を解決する」勉強の能力は養ってくれても、「問題を作る」学問の能力にはあまり目をむけてくれない気がします。大学に入って初めて自分で疑問をもち仮説を立てて行う学問をするようになります。東大生は「問題を解決する」能力に特化した人達なので、学問的な思考に戸惑ってしまう人も多いです。僕もその一人です。
大学2年生の時、提出3日前までレポートのテーマを思いつかないことがありました。そんな時、思い詰めて読み直したのがこの本です。ファーブルの自然科学だろうが、僕のやっている社会科学だろうが根っこは「観察して仮説を立てる」ことです。基本は同じ。
「観察する」ことの重要性を教えてくれた本だと思います。
『空想科学読本』シリーズ
このシリーズは本当にイチオシ!なぜなら老若男女問わず取っ付きやすくてめちゃくちゃ面白いから笑
「タケコプターって本当に飛べるの?」「かめはめ波って本当に撃てるの?」
と言った漫画やアニメの素朴な疑問を、「できるわけないじゃん」の一言で片付けないで、現代科学の知識で全力で解決しようとする内容です。
初期の頃はウルトラマンや仮面ライダーシリーズなどのネタが多かったですが、最近はイナズマイレブンとか進撃の巨人とか流行に合わせたネタが増えているので、小学生から大人まで幅広く楽しめます。
僕は小学5年生のときから読んでいて、途中で解説される細かい計算式はチンプンカンプンでしたが、それでも常に大爆笑でした。
しかし、面白いだけじゃないのがこのシリーズのすごいところ。
単純に読むだけで理科の勉強になる!
摩擦とか浮力とかの考え方や計算はこの本で解説されているのを読んで理解しましたし、エネルギーの単位のJ(ジュール)やcal(カロリー)は教科書の説明よりも遥かに意味がわかりやすかったです。
必ず概念や単位の説明をしてくれて読者をおいていかないのがとても好きな点です。
最近はジュニア版もある模様。小学校低学年でも楽しめるようになったようです。
『ゾウの時間、ネズミの時間』
高校1年生のとき友達が待ち合わせに遅れたので、駅の本屋をプラプラ回っていて出会った本です。
生物の体積や体重と生物の進化や時間の感じ方、エネルギーの使い方などとの間に存在する関係性・規則性を、計算を用いて非常に論理的に説明してくれています。
logの計算式などもあるので高校生以上におすすめですが、細かい計算などわからなくても、
「生物のサイズに問わず一生の間にできる心拍数は一定なのではないか」
「なぜ車のような車輪を持った動物は存在しないのか」
などの疑問や仮説を聞いたりするだけで、誰であろうと脳みそがグルングルン回り始めるのではないでしょうか?
僕自身、読み始めてからすぐに普段よりも自分の思考量が増えていることを強く実感しました。筆者の出してくる疑問に答えられないのが悔しくて、自分なりの回答を考えたり、筆者の指摘していない部分を挙げてみたりして、通学の電車の中でブツブツ言いながら読み切りました笑
疑問にたいして、自分なりの科学的「仮説」を考えることの楽しさを感じることができるのが、この本を読む価値だと思います。
こちらも絵本バージョンの物があります。
小学生以下のお子さんはこちらが良いでしょう!僕が小さいときにもあったらなあ。